箱庭円舞曲OFFICIAL WEB SITE
向佐邸。ごく普通のマンションの一室。
向佐あかり(鈴木朋美)は、少しだけでいいから、夫に家庭を顧みてほしかった。息子の向佐博仁(五十嵐幸司)は、くすぶっていた。チョコレートばかり食べていた。ガーナミルクだ。夫、向佐友則(大澤遊)は、何も気付いていなかった。カップヌードルばかり食べていた。しょうゆあじだ。そして、息子は誘拐される。
その日は偶然、博仁の誕生日であった。
これまた偶然、登石紫乃(植田玲奈)はケーブルテレビの設置工事をしに来ていただけだった。しかし、如何せん、彼女はお節介だった。
映画によくある話のように、犯人からの脅迫電話が掛かってくる。焦るあかり。焦る登石。しかし友則は、誰かの悪戯だよ、と相手にしない。相手にはしないが、あかりと登石が余りにも騒ぐので仕方なく警察に電話しようとする。が、あかりはそれにも激昂する。登石も激昂する。警察に知らせたら駄目でしょう、と。人質殺されちゃうでしょう、と。だがもう遅かった。警察が、来た。
昔から、警部補小紫みのる(山内翔)はパイプをくわえているのが好きだ。もちろん火を点けたりしない。要は見た目なのだ。そしていつも下痢気味だ。そんな彼を、巡査高埜武一(井内勇希)が軽視しないはずがなかった。そんな彼を、科研の六波羅昭子 (増子直子)が意識しないのは当然だった。
一方その頃、成田から飛び立った旅客機はハイジャックされて早くも地球二週目に差し掛かろうとしていた。鳴り響く向佐家の電話。その内容は、博仁を誘拐したものの、高飛びするために乗った飛行機がハイジャックされてしまったというものだった。誘拐犯は名乗った。私はインド人、モマボソよ。と。普通は名乗らない。
向佐博仁君誘拐事件は、さらなる悪ノリや有り得ない偶然、余計な一言により、次々と話が膨らみ、同時に破綻していく…。
井内勇希 鈴木朋美 増子直子 山内翔 大澤遊
五十嵐幸司 植田玲奈
脚本・演出:古川貴義
装置:西多恵子 原千香子
照明:永井良
音響:福田真由美
スライドオペレーション:野村昌司
小道具:今村智美 栗山佳代子
舞台監督:マグロ
宣伝写真:内田紀幸
特殊技能:小浦知佳
制作:安田有希子 庭山由佳 西山紗耶歌
浅草橋アドリブ小劇場
2001.12/14(金) 〜 2001.12/16(日)
5ステージ
前売:1,500円 / 当日:1,800円
二回目の公演。旗上げ公演の評判がやけに良くて、嬉しい反面居心地悪かったんです。と言うのは、僕はそこまで凄いものを作ったつもりはなくて、ただただ普通の芝居を、スタンダードに誰が観ても楽しめるものを作っただけだったんです。なのに、何だよその前評判は!って感じでした。凄まじいプレッシャーでした。
でも、今回もそんな、普通の芝居にしてみました。えぇ、シチュエーションコメディです。恥ずかしいですよね、コメディって。響きが。何かもう、笑わせますよ!って言ってるみたいで。テレビ番組の「大爆笑! 〜#k@$”G&7%X〜」の「大爆笑!」の部分みたいで。そういうのって大抵笑えないじゃないですか。芝居も、コメディって銘打ってる作品が10本あったとして実際に笑えるのはあって2、3本。たまたまハズレくじばっかり引いてるのかなぁ。でも、前回、今回の芝居を一言で言うなれば、やっぱりコメディでしかないんですよね。悔しいけど。何か別な呼び方無いですかね。だから普通の芝居、とか言っちゃうんですよね。
今回は食べ物がいっぱい出てきましたが、そもそもやりたかったのは、あかりによって床に叩きつけられてぐちゃぐちゃになったケーキをあかり自ら貪り食うというシーンだったんですよ。「美味い、美味い」って泣き叫びながら。ごく普通の人が、何をどうしたらいいか分からなくなったときにどんな行動を取るか、という一例を示してみたかったのでした。カップヌードル(シーフード)も飛び交いまして。鈴木朋美の顔じゅうクリームだらけにしての好演。セットも楽屋も靴下の裏もみんなクリームだらけ。もうしっちゃかめっちゃかに。
そして二回目にして早くもトレードマークとなりつつあったリアルなセットと照明。ベランダまであって。和室まであって。カレンダーに赤で何かのチェックが入ってて。状差しに手紙が入ってて。冷蔵庫、電話台、窓、柱、廊下、本棚、謎のシール……、書き切れない。ドアを開けると、そこはもう向佐家だった。
これ、全然一言で終わってないですね。
気にしない、気にしない。
→PASTSTAGE 一覧へ
Copyright©2006-2008 箱庭円舞曲 All rights reserved.